SL鉄道模型転車台電動化(自動停止装置編)
2013年2月22日


 SL鉄道模型転の転車台ですが電動化したものをスイッチによるマニュアル操作で動くようにしてきました。
 手動やスイッチによるマニュアル操作の場合、転車台の位置が列車の侵入線路と合っていないと当然、列車は脱線します。
 また転車台が回転中に列車が飛び込んでくる可能性があります。
 模型の世界では許されますが実際の車両だったら大変な事故になります。



 NATOCではカメラを使ってこのような場合、緊急停止する機能があります。
 そこでNATOCを使わない場合でもこの機能を実現できないかやってみました。

 以前ロボゼロコントローラーでレイアウトを制御した時センサーを使ってみました。
 このセンサーを2つ転車台に侵入してくる線路に置いておきます。

 また列車を停止させるのにリレーを1個使います。
 リレーでレイアウトの主電源をオンオフします。
 リレーは常時オン状態ですがでセンサーが列車を感知した時に働いて主電源をオフにします。

 センサーは前回同様、TOMIXのTCSワンタッチセンサー(型番5558)というのを使いました。



 設置場所ですがワンタッチセンサーの場合レールにDCフィーダーを差し込む場所にの設置するので設置場所は限られてきます。
 それぞれ転車台に一番近い位置に設置します。
 これらの位置はなかなか絶妙でレイアウト下側のに設置した方は少し距離がありますが直線なので結構転車台ぎりぎりで止まります。
 SL鉄道模型のコントローラーを使った場合、中速(ツマミ中央)でBD2012機関車が丁度いい位置で止まります。

 なおオリジナルの転車台はこれらの線路と接続した時は本線と転車電源が通電してしまいます。
 そのため転車台で列車を止めるにはこちらの改造が必要となります。
 また今回はセンサーを線路の外側に設置しましたがケーブルを差し込むコネクタを逆の方にすれば内側に設置する事ができます。





 スイッチ操作の配線図を基本としてセンサーとリレーを拡張します。
 スイッチの配線については前回の記事を参照してください。
 今回使うセンサーの出力は3本あって真ん中がGNR、両端が信号線で列車の進行方向(線路の電流の方向)別に分かれています。
 今回は列車の片方の進行方向だけを検出するためどちらか一方の信号線を使います。

 5番線(レイアウト下側)の時は列車が時計回り、1番線(レイアウト下側)の時は列車が反時計回りの時に反応するようにセットします。
 従ってそれぞれ違った信号線を使います。
 またセンサーのコネクタは左右2つあって接続される線が逆になるようです。
 今回は両方とも印のある方を使います。
 センサーを線路の内側に設置する場合は逆側のコネクタを使えば良いと思います。

 センサーの信号線をARDUINOのA0(アナログ0番)とA1(アナログ1番)に接続します。
 進行方向に合わせたのでA0に接続するセンサーを時計回り(5番線)、A1に接続するセンサーを反時計回り(1番線)としました。
 それぞれ使う信号線はA0の方が水色のマークのある方でA1の方がない方を接続しました。

 それぞれの信号線には10〜20KΩのプルアップ抵抗を接続しておきます。
 前回は10KΩのものを使いましたが今回は手持ちがなかったの15KΩのものを使いました。

 プルアップ抵抗の片方の足は2本まとめてARDUINOの5Vに接続します。
 ARDUINOの5Vは転車台のサーボの電源にも使いますので分配する必要があります。
 分配しない場合はおそらく隣の3.3Vに接続できるかも知れません。(プルアップ抵抗の値を変えたりスケッチのセンサー感度を変更する必要があるかも知れませんが)

 センサーの真ん中の線もまとめてARDUINOのGNDに接続します。
 今回はサーボのGNDと共通にしましたが隣もGNDピンなのでそこに接続しても構いません。

 主電源をオンオフするのは5Vの小型リレーを使います。
 基板用リレー 1回路2接点 / G5V-1 DC5Vというのを使いました。

 通常はつながった状態にしたいのでNC(1番端子,ノーマルクローズ)とCOM((5,6番端子)に主電源の片方の線を接続します。
 今回NO(10番端子,ノーマルオープン)は使いません。

 リレーのコイル(2,9番端子)はARDUINOのD6(デジタル6PIN)とGNDに接続します。
 NATOCの主電源のリレーがD6とD7を使っているのでD6にしました。(変更する場合はスケッチを修正)



 今回の実装はセンサー用の基板を新たに追加してリレーをスイッチ基板に載せました。
 一応スイッチと主電源はコントローラ系としてセンサーはセンサー系として分けています。
 もちろんセンサーの抵抗もスイッチ基板に載せても構いませんが、センサーはまた別の用途にも使えるよう分けています。
 なおサーボの電源とセンサーの電源を共通化するためセンサー用の基板からサーボの電源を取るようにしました。



 ARDUINOとセンサー用基板はヘッダーピンを2本ずつ切り取ったものをARDUINOの5V,GNDとA0,A1ソケットに刺さるように基板にハンダ付けをしています。
 センサーの使用しない信号線もケーブルが切れないようにするため基板の空いた所にハンダ付けをしています。

 サーボを差し込む3PのQIケーブルをこの基板にハンダ付けして5VとGNDのピンと接続しています。
 またQIケーブルの信号線は1PのQIケーブルとハンダ付けしてこのピンをARDUINOのTX(デジタル1番)に差し込んで接続するようにしています。



 リレーを基板の空きスペースに載せ1本と2本に切り取ったヘッダーピンをリレーのピンの近くに配置します。
 1本のヘッダーピンは、リレーの9番ピンの近くに配置しリレーの9番ピンとハンダ付けをします。
 このピンにはARDUINOのD6と接続するためQIケーブルシングルピン(プラグとソケットを接続したものを使用)に接続します。

 2本のヘッダーピンは、リレーの1番ピンの近くに配置し一方のヘッダーピンをリレーの1番ピンとハンダ付けをします。
 もう一方のヘッダーピンはリレーの2番ピンまたは9番ピンに配線します。
 残りの9番ピンまたは2番ピンはスイッチ基板のGND線に配線します。

 このピンには主電源のコード(DC延長コードを使用)の片方を途中で切断した線を接続します。
 切断した線は手持ちのNゲージ用の接続ケーブルを結線したものを使用しました。



 arduinoにセンサー対応の転車台プログラムを転送します。
 プログラムに関してはこちらの記事を参照してください。
 今回のスケッチはこちらになります。
 こちらのスケッチは以前の転車台用のスケッチに置き換えるものでセンサーを使わない時も共通で使えます。

 前回のスケッチと同様に転車台の停止位置の調整が必要です。
 転車台の停止位置の調整はこちらの記事を参照してください。

boolean sensor = false; //センサーを使う時はtrueに変更
boolean auto_mode = true; //自動的に転車台を接続するのをやめる場合はfalseに変更
int sensor_level = 750;  //センサー感度(センサーの反応に応じて調整)

 センサーを使う場合はsensorにセットする値をfalseからtrueに変更してください。
 自動的に転車台を接続する場合はauto_modeにセットする値をtrueのままにしておいてください。
 sensor_levelはリレーを動作させるセンサー入力のアナログ値を指定します。
 この値はアナログ入力の電圧に対応しており0〜1023(0〜5V)の範囲で指定します。
 電圧がこの値より少なくなった時にリレーを働かせて列車を止めます。
 列車が通過してもリレーが働かないような場合はこの値を高くして少しの電圧変化で反応するように設定してみてください。



 実際に動作させた動画です。

     

 自動モードを設定すると車両が止まった場合、自動的に車両のいる線路に転車台を動かしてくれます。
 この機能は割と便利で転車台の操作をあまり行わなくても列車を操作できます。

 今回使ったTCSワンタッチセンサーは簡単に設置できますが外付けのためレイアウトで少し目立ってしまいます。
 5567といったワイドレール・スラブレール用センサーを使えば設置のための改造が必要になりますがレイアウトを損ねずに設置する事ができると思います。

 なお今回のような改造を行うと転車台を破損してしまったり動作不良になる場合がありますのであくまでも自己責任という事でお願いします。

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